２　万松山可睡斎
遠州三山 　１　医王山油山寺 　　（１）宗派 　　（２）本尊 　　（３）守護神 　　（４）沿革 　　（５）建造物等 　　（６）天然記念物 　　（７）句碑・詩碑 　　（８）伝説 　　（９）その他 　２　万松山可睡斎 　　（１）宗派 　　（２）本尊 　　（３）沿革 　　（４）建造物等 　　（５）掛川藩主の墓 　　（６）その他 　３　法多山尊永寺 　　（１）宗派 　　（２）山号 　　（３）本尊 　　（４）沿革 　　（５）建築物等 　　（６）祭礼 　　（７）その他	袋井市久能２９１５−１ 電話０５３８−４２−２１２１ 　交通機関　ＪＲ袋井駅下車、バスで10分　可睡斎行・門前下車 正式名　　秋葉総本殿万松山可睡斎 （１）宗派　　曹洞宗 （２）本尊　　　釈迦如来 （３）沿革 　　応永年間（１３９４〜１４２８）道元（１２００〜５３・日本曹洞宗の開祖）の法孫、如仲天�ｧ（にょちゅうてんぎん）和尚が草庵を結び、後東陽軒と称したのが可睡斎の始まりで、11世等膳の時代、徳川家康（１５４２〜１６１６）の帰依を得て、駿河・遠江・伊豆・三河４ヶ国の僧録司（そうろくじ）となり、寺号を可睡斎と改めた。 　又、境内の後丘には「秋葉総本殿」があり、本尊に「三尺坊威徳大権現」を祀っている。もとは、秋葉山秋葉寺にあったが、明治維新時の神仏分離令（１８６８）により、廃寺となっていたものを、1873年（明治6年）に移したものである。俗に「秋葉三尺坊」といい、火防 に霊験があると多くの人に信仰されている。毎年12月15日は「秋葉の火まつり」が行われている。 (注）１、僧録司 （注）２，相国寺 （４）建造物等 �@東陽軒…可睡斎の始まり　　「現地説明板」 　当山五世太路一遵（たいろいちじゅん＝１３９８〜１５１８）な如仲天�ｧ（じょちゅうてんぎん）禅師について出家したことから、禅師が一）時寓止(ぐうし)したといわれる久野城外の松樹（しょうじゅ）下の大通庵を探り当て坐禅をしていた。座禅中、毘沙門天の奇瑞を感得し、お告げ通り近くに一つのお堂を建て、東陽軒と名付けた。その東洋軒が可睡斎の始まりである。 　現在の建物は、昭和六十年に観音堂を移築したものである。 �A弁天堂　　　「現地説明板」 　　このお堂は弁財天を祀る。弁財天は山深く険しい所、坎窟（かんく＝ほこら）や河辺、又は大木が生い茂っている所等に住し、勇猛にして大精進を行じ、衆生（人々）に富と食と延寿を与え、天災地変を除滅する。又、弁舌学芸知識の女神とされ、七福神（恵比寿・大黒天・弁才天・毘沙門天・福禄寿・布袋・寿老人）に数えられる。弁才天（弁財天）は、妙音天・妙音楽天・大弁才天女・大弁才天神等と称し、略して弁天ともいう。 �B白山堂　　　「現地説明板」 　永平寺開祖道元禅師が宋（中国）の天童如浄禅師（てんどうにょじょうぜんじ）について、開悟（かいご＝知見を開いて真理をさとること）され帰朝（日本に帰国）される前夜、「碧眼録」（へきがんろく）を筆写していると、白山妙理大権現が現れ助勢された。（一夜碧眼）禅師はその奇瑞を歓び帰朝後、終生白山妙理大権現を祀られた。（建撕記＝けんぜいき・洞上伽藍雑記（＝とうじょうがらんぞうき・他）　その故事に基づき当山も鎮守として開創以来祀っているのである。　現在の白山堂は、財団法人重複障害教育研究所長・理事長・中島昭美氏・知子令婦人篤志により再建された。 �C本堂 　可睡斎は６００年前（応永８）如仲（じょちゅう）禅師により開創された曹洞宗屈指の名刹です。　十一代住職仙麟等膳（せんりんとうぜん）大和尚は、幼い家康を戦乱から救ったことがあり、後に家康が、浜松城主となった折、報恩のために城に招かれたその席で、コックリコックリと居眠りを始めた。 　　その姿を見た家康は、和尚の安らかな親愛の心を悟り、和尚に「睡（ねむ）る可（べ）し」（御前にて睡っても無礼ではないとの意）と言い「可睡和尚」と愛称され、寺号も東洋軒から可睡斎と改め、後に十万石の待遇と、徳川幕府最初の「僧録司」（そうろくす）という職を与えられた。 �D御真殿（秋葉総本殿可睡斎） 　「秋葉総本殿三尺坊大権現様御由緒」　　「現地説明板」 　　当山は、秋葉三尺坊大権現様の御神躰をお祀りしていることから火防霊山、秋葉信仰の総本山として広く知られています。三尺坊様は、奈良・平安時代、信州に出現された実在の僧で、二十七歳の時に、一切衆生を救済したいと発願し百日の断食と二十一日の不動三昧の護摩の秘法を修行し、満願の日に観音様の三十三化身の一つである迦楼羅身（かるらしん）となられ、無量の神通力を得られました。そして、静岡県春野町の秋葉山に降り立ち、全国の秋葉霊場の総本山とされました。明治維新、明治政府令により、秋葉山秋葉寺（あきはさんしゅうようじ）が廃寺取り壊しになった時、三尺坊様の御身躰は可睡斎にお移りになられました。それ以来、当山は全国の火防の総本山として信仰されております。 ○「秋葉総本殿」の扁額…有栖川宮熾仁親王の筆 （注）３，秋葉権現　 �E奥の院　　　　「現地説明板」 　明治初年、勝坂不動様を当山に移転祭祀されました。不動明王は、大日如来が一切の悪魔を降伏せんがための使者となり、真言行者を守護するものと言われる。密教の五大明王の中尊像で、その功徳力は怨敵退散・災難即滅である。背負っている大火焔は、一切の煩悩魔障を焼き尽くすことを顕しています。（信ずれば非常に運が強い明王さまです） 　　　　　御真言 　　「ノウマクサンマンダーバーサラダーセンダーマーカロシャーダ 　　　ソワタウンタラターカンマン」 （５）掛川藩主の墓 　掛川藩主井伊直好は、父直勝が寛文二年（１６６２）七月十一日に掛川城中で病死すると、父の葬地を可睡斎と定め、仏供田（ぶつくでん）として新田十石を寄付した。 　可睡斎の二十一世貴外嶺育（きがいれいいく）和尚（１６６６示寂）は、井伊直勝に雲江院殿月山了照大居士（うんこういんでんげっさんりょうしょうだいこじ）という戒名を与えました。　のち、寛文十二年（１６７２）正月六日死去した直好へも、ときの二十二世丹山嶺香和尚（１６７２年十二月二十七日示寂）は、大勝院殿日頼春杲大居士（だいしょういんにちらいしゅんこうだいこじ）という戒名を与えた。　可睡斎は、久野城（袋井市鷲巣）を築城（１５０１）した久野佐渡守宗隆・萬松院殿一磬清観大居士を開基としているが、寺領寄進の功績のあった直勝・直好も開基としている。 （注）４，井伊直勝・直好父子 （６）その他 �@秀甫の句碑 　　日の本は神代ながらの山さくら 　　　　　　　皇紀二千六百年立春　　八十翁 (注）５，本因坊秀甫 �A大黒天 　○甲子大黒尊天のいわれ　　　「現地説明板」 　　「子」は北方を指します。方角を十二に分け、これに「甲え」「乙と」を割り当てます。　「え」は兄「と」は弟です。これに薬師十二神将の宮毘羅（くびら）将軍を当てはめ、北方を甲子将軍といっています。この「子ね」からねずみが使者となりました。また、方角に神様を配したものに、中央を堅牢地神とし、北方を黒帝としたので、そこから大黒様は北方になり、堅牢地神とも深い関係があります。これから見ると、大黒様は大地を象徴しているようです。 　○甲子開運出世　大黒尊天 　インドのマハーカーラ（摩訶迦羅）神です。バラモン教の自在天という神の化身で、戦いの神・富貴の神・食物台所の神といわれ、寺院の食堂に祀られていました。青黒の肌をし憤怒の顔をしていました。富貴・食物の神として古くから人気をあり、インド・中国・日本を通じて広く祀られるようになります。日本では鎌倉時代に大国主命と混同して微笑の相となります。更に江戸時代になると米俵に乗る形が広まりました。そして七福神の一人として位置づけられました。 �Bかんかん石 　　神仏に願を掛ける時、この石を叩いて鳴らしてから祈ると、願いは必ずかなうと、弘法大師がい教えたといわれます。この石は、弘法大師ゆかりのお寺である佐賀県の海蔵寺に伝わるものです。昭和の初年に高階瓏山禅師が当山五十一世として、福岡より入山するに際して海蔵寺より寄贈されました。石は、打楽器の「磬」に使われるものと思われます。 　どうぞ、この石をいい音に鳴らして祈願して下さい。 �C勝軍地蔵菩薩 　明治初年、廃仏毀釈の時、秋葉山寺より当山へ遷座されました。地蔵菩薩はお釈迦様の付属を受け、この五濁の世に出現し、六道の衆生を救済する菩薩であるといわれ、功徳力は、煩悩魔障と戦って勝つと言われています。（運に強い菩薩とされています） 　　　　　　御真言 　　「オンカーカーカビサンマーエイソワカ」 �D出世六の字穴 　　　　　　「伝説・出世六の字穴」　　「現地説明板」 　戦国時代、徳川家康は武田信玄との戦いで、遠州森・袋井方面へ攻めて来た武田勢に追われ、この寺のほら穴に隠れて命びろいをした。やがて、浜松城・駿府城・江戸城を築き国を平定し、天下の家康となったという出世の古事になぞらえて、「出世六の字穴」と言ったものと伝えられる。六の字とは、六観音（正観音・千手・馬頭・十一面・準胝・如意輪）から名付けられたものといわれる。