3 法多山尊永寺
遠州三山

 1 医王山油山寺
  (1)宗派
  (2)本尊
  (3)守護神
  (4)沿革
  (5)建造物等
  (6)天然記念物
  (7)句碑・詩碑
  (8)伝説
  (9)その他

 2万松山可睡斎
  (1)宗派
  (2)本尊
  (3)沿革
  (4)建造物等
  (5)掛川藩主の墓
  (6)その他

 3 法多山尊永寺
 (1)宗派
 (2)山号
 (3)本尊
 (4)沿革
 (5)建築等
 (6)祭礼
 (7)その他
袋井市豊沢2777
 0538−43−3601
 JR袋井駅よりバス、法多山下車
(1)宗派  古義真言宗高野山派
(2)山号  法多山
(3)本尊  聖観世音菩薩(伝・行基作)
  ★「法多の厄除け観音」として、縁日には、厄年の善男善女で賑わう。
(4)沿革
  勅命をうけた行基(668〜749)により開創されたと伝えられ、定額寺(じょうがくじ)に列せられた。 室町時代末、今川・豊臣・徳川等の武将の信仰厚く栄えたが、明治維新の折、境内及び朱印地を返還し、寺号を尊永寺と改めた。

(注)1,定額寺
(注)2,朱印地

(5)建築物等
 @重要文化財 尊永寺仁王門
  桃山時代の特色をよく残す楼門(二層の門)です。屋根は?葺(こけらぶき)・入母屋造で、垂木(たるき)や組物も大きく、全体としておおらかな力強い造りです。尊永寺には、鎌倉時代に作られた密教法具のひとつ金剛五種鈴が重要文化財に指定され、東京国立博物館に展示されています。
   棟札(むなふだ・むねふだ)によれば、寛永十七(1640)年建立
   間口七・二七m、奥行き四・二四m
   重要文化財指定 昭和二九年九月一七日
   説明板設置平成六年三月二九日
                          静岡県教育委員会
                          袋井市教育委員会
 A仁王門(国指定重要文化財)
  棟札によれば江戸時代初期の寛永17年(1640)の建立となっているが、様式的には木鼻(きばな)を用いないなど、大変古風でそれ以前の室町後期〜桃山時代の特徴を色濃く残している。一説には播州(現兵庫県)二見、或いは遠州森町三倉より移築したとも伝えられる。形式は入母屋造?葺の三間一戸の楼門で、間口は約7,3m奥行は約4,3mである。上層部の蟇股(かえるまた)の形態は他には見られない独特の趣であるといわれる。二階部に高欄付切目縁(こうらんつききれめえん)を回し、垂木や斗組も大きく雄大な造りで法多山への山の総門に相応しい豪壮な門である。
 B「黒門と鎧塀」
 ○黒門(市指定建造文化財) 
  学頭坊正法院の中門として、宝永8年(1712)建立の四脚門である。この門は主柱で全体を支え、建ちも高く屋根勾配も強くて、屋根も大きく、屋根全体を檜皮葺(ひはだぶき)で被い、棟に箱棟・鬼板を施している。




 ○鎧塀
 鎧塀は、塔頭(たっちゅう)寺院十二坊中、正法院(現尊永寺)中門の両袖に施されている。鎧塀は木造塀の中では、重厚で格式が高く、上級武家屋敷等に用いられていた。
 壁面を土壁(どべい)漆喰(しっくい)で仕上げ、「鎧胸板」(よろいむないた)、下見板張りは、下見板を横張りにした上に、簓子(ささらこ)
で押さえ「鎧草摺」(よろいくさずり)、いかにも甲冑に見立てた造りから鎧塀と称される由縁である。

 Cその他の建物

○法多山本坊 ○法多山本堂
○太子堂 ○塔頭諸尊堂
○弁天堂 ○薬師堂
○参道 ○法多山尊永寺遠望

(6)祭礼
  @田遊祭(田遊・田植祭)
    毎年1月7日  五穀豊穣を祈る祭り。
    昭和25年(1960)4月 静岡県無形文化財に指定。
  A大祭
    1月1〜7日 
  B節分祭・初午祭・星供養
    2月15日〜17日
  C青葉祭
    6月15日
  D万灯祭
    7月10日
  E五穀祭
    11月25〜27日

(7)その他
@法多山名物くし団子の由来  「現地雄説明板」
 法多山は、その山号にして、寺号を尊永寺と称し、本尊には俗に厄除観音として親しまれている正観世音菩薩を奉安する。法多山はその昔、神亀二年(725)聖武天皇の勅により、行基上人が開山した高野山真言宗別格本山であり、勅願定額寺の列に遇せられ、朝廷、武将の篤信を授け信仰、文化の殿堂として栄えた。特に法多山では、毎年正月、江戸幕府の武運長久・天下太平・五穀豊穣のご祈祷を奉修し、祈祷護符と当地名産品を献上する習わしであった。 十三代将軍家定(1824〜58在職1853〜58)の頃(1854)門前に住む寺士八左ェ門の発案による「観音名物団子」が登城の土産に添えられたことを始めとする。将軍家より「くし団子」と御命名え賜り以来一般参詣客の賞味するところとなり、俗に「厄除団子」と呼ばれ今日に至る。